資産売却収入の会計処理
(2021年6月1日更新)
1.資産売却収入の内容と内訳
学校法人会計における資産売却収入の小科目の内訳としては以下のものが定められています。
小 科 目 | 内 容 |
施設売却収入 | |
設備売却収入 | |
有価証券売却収入 |
固定資産売却収入は、固定資産の売却に伴い得られる収入を計上するものです。固定資産に含まれない物品の売却収入を除くものとされているので(学校法人会計基準別表第一)、例えば、10万円以下で購入した耐久財で消耗品費処理して固定資産計上しなかった物品を売却した場合には、雑収入として処理し、固定資産売却収入では処理しません。
施設売却収入は、土地、建物、構築物に係る収入で、設備売却収入は有価証券を除くそれ以外の売却収入となります。
施設売却収入や設備売却収入などの小科目は、具体的に売却した固定資産の名称を勘定科目に入れて、「車両売却収入」、「建物売却収入」、「管理用機器備品売却収入」のように表示することができます。具体的な固定資産の名称を使用することは、計算書類の利用者に有用な情報を提供するだけではなく、「固定資産明細表」との整合性も取れることになり、メリットがあります。
2.固定資産売却時の基本的な会計処理方法
固定資産売却時の会計処理を以下の具体例で確認しましょう。ここでは資金収支計算だけでなく事業活動収支計算の仕訳も含めて記載します(事業活動収支計算の具体的な解説は『事業活動収支計算』の章をご確認ください。)。
【事例】
取得価額1,000の教育研究用機器備品を300で売却した。減価償却累計額は900である。
<資金収支計算>
(借方)現金預金 300 (貸方)教育研究用機器備品売却収入 300
<事業活動収支計算>
(借方)現金預金 300 (貸方)教育研究用機器備品 1,000
教育研究用機器備品減価償却累計額 900 教育研究用機器備品処分差額 200
3.資産運用取引の基本的な会計処理
学校法人では資産運用として様々な金融商品を運用しており、資金運用取引の収支は資金収支計算書にも計上されることになります。資金運用取引に関する会計処理としては、学校法人会計問答集(Q&A)第5号「資金運用取引に関する会計処理について」(改正平成19年1月15日、日本公認会計士協会)において規定されています。
資金運用取引の収支に係る資金収支計算書における表示は、総額表示となります。学校法人会計基準第5条但書において、預り金に係る収支その他経過的な収支と食堂に係る収支その他教育活動に付随する活動に係る収支についてのみ純額表示を認めており、それ以外はすべて総額表示となっています。このため、資金運用収支についても総額表示となります(学校法人会計問答集Q&A第5号Q1)。