補助金収入の会計処理
(2021年6月1日更新)
1.補助金収入の内訳と内容
学校法人会計における補助金収入の小科目の内訳としては以下のものが定められています。
小 科 目 | 内 容 |
国庫補助金収入 | 日本私立学校振興・共済事業団からの補助金を含む。 |
地方公共団体補助金収入 |
補助金収入は、国又は地方公共団体からの助成金をいい、日本私立学校振興・共済事業団及びこれに準ずる団体からの助成金を含みます。
なお、日本私立学校振興・共済事業団及びこれに準ずる団体からの助成金とは、国又は地方公共団体からの資金を原資とする間接的助成金をいいます(学校法人委員会研究報告第31号「寄付金収入・補助金収入に関する留意事項」Ⅱ1、平成27年10月7日、公認会計士協会)。日本私立学校振興・共済事業団に準ずる団体とは、例えば、都道府県の私学振興協会及び私学協会等がこれに該当します。
2.補助金収入の基本的な会計処理方法
上記のとおり、国からの補助金は補助金収入の国庫補助金収入とし、地方公共団体からの補助金は補助金収入の地方公共団体補助金収入とします。日本私立学校振興・共済事業団からの補助金は国庫補助金収入として処理されます。
なお、地方公共団体が各学校法人に対し、補助金収入として表示すべき科目等を特に指示している場合は、その方法によることができます(学校法人委員会研究報告第31号「寄付金収入・補助金収入に関する留意事項」Ⅱ2(3))。
また、日本私立学校振興・共済事業団に準ずる団体からの補助金は、国庫補助金収入又は地方公共団体補助金収入とは別に適当な小科目を設けて表示することができます(学校法人委員会研究報告第31号Ⅱ2(4))。
補助金の年度末までに国や地方公共団体からの交付決定通知を受けているにもかかわらず補助金が未収となっている場合、未収入金の計上が必要になります。
3.学生生徒等の学費負担軽減のための補助金の処理
学生生徒等の学費負担軽減のための補助金は、補助金収入に計上します。なお、当該補助金収入に係る授業料収入等の減額表示に当たっては、授業料収入等から直接減額する方法、又は、学生生徒等納付金収入の中に「補助金による軽減額」等の控除科目を用いて間接的に減額する方法のいずれかによります(学校法人委員会研究報告第31号Ⅱ2(2))。
【例示】授業料が100とし、県から学費負担軽減補助金として20の補助金を得た場合
<直接法>
学生生徒等納付金収入
授業料収入 80
補助金収入
地方公共団体補助金収入 20
<間接法>
学生生徒等納付金収入
授業料収入 100
県補助金による軽減額 △20 80
補助金収入
地方公共団体補助金収入 20
なお、地域外又は定員外のため、補助金の対象とならない父兄にも学校側が補助金に準じて、一律の軽減措置を講じた場合の経理処理としては、授業料収入を減額する方法(純額法)、授業料収入及び奨学費支出として計上する方法(総額法)がありますが、このような補助金対象外の軽減措置については、事柄の性格上、研究報告の対象とならないので、いずれの方法によってもよいと解されています(学校法人委員会研究報告第31号Ⅱ2趣旨(2))。
4.補助金の返還の処理
補助金は、計算過誤等の理由で、収受した翌年以降に国(地方公共団体)に対して返金する場合があります。過年度において一旦確定し収受したものを、返還命令決定通知に従って返金するのが補助金の返還であり、過年度の修正には該当しません。したがって、これは管理経費(支出)として計上され、事業活動収支計算書上も、特別収支の過年度修正額とはなりません(学校法人委員会研究報告第31号Ⅱ2趣旨(4))。