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学校法人会計における退職給与引当金

学校法人会計における退職給与引当金

(2021年6月1日更新)

1.学校法人会計における退職給与引当金の会計処理

 学校法人においては、平成22年度までは50%基準でしたが、平成23年度から、各学校法人の退職給与規定等に基づいて算出した退職金の期末要支給額の100%を退職給与引当金として計上します。


 学校法人は、各学校法人で定めている退職給与規定等で計算される貸借対照表日における退職金要支給額の全額の引当てが求められています。ただ、実際には、私大退職金財団や私学退職金財団に加盟して退職金支給の一部を手当していることから、引当金の計上にあたってはこれらの財団からの支給額を考慮する必要があります。


 以下のように、私大退職金財団と私学退職金財団は方式など様々な違いがあります。

 

 【私大退職金財団】

  • 私立大学の教職員の退職金支給の資金面での保障を行う
  • 修正賦課方式を採用
  • 各年度の退職資金の学校法人への交付は学校法人の負担金(掛金)で賄うという財政方式

 

 【私学退職金財団】

  • 都道府県ごとに設置され、主として、小・中・高校の教職員を対象とした退職金の交付金給付事業
  • 事前積立方式を採用
  • 将来の教職員の退職に充てるための交付金(資金)を掛金等で事前に積み立てていくという財政方式

 

 私大退職金財団と私学退職金財団はそれぞれの財政方式が異なるため、引当金への調整方法が異なることになります。

 

私大退職金財団のケース


 一方で、修正賦課方式を採用している私大退職金財団の場合、掛金は将来への積み立てのためのものではないので、退職金要支給額から直接控除することはできません。財団への掛金への累積額と交付金の累積額との差額を繰入調整額として加減することになります「退職給与引当金の計上等に係る会計方針の統一について(通知)」(平成23年2月17日22高私参第11号)1(1)①)

 

 私大退職金財団に対する掛金の累積額が交付金の累積額を上回る場合には、当該繰入調整額を、引当金要繰入額から控除して退職給与引当金繰入額を算出します。この場合、控除する当該繰入調整額が引当金要繰入額を上回る場合には、当該額を退職給与引当金戻入額として処理します。

 

 一方で、掛金の累積額が交付金の累積額を下回る場合には、当該繰入調整額を引当金要繰入額に加算して調整後の退職給与引当金繰入額を算出します。

 

 私大退職金財団からの退職資金の交付金は、原則として掛金のみを財源としていますが、掛金を財源としない交付金が支給される場合があります。この掛金を財源としない交付金については、繰入調整額の計算(掛金の累積額と交付金の累積額の差額)において、交付金の累積額には含めません。したがって、調整計算上、交付金の累積額は、財源が掛金部分のみによることになります(学校法人委員会実務指針第44号「退職給与引当金の計上等に係る会計方針の統一について(通知)に関する実務指針」(最終改正平成26年12月2日、公認会計士協会)1-1-2)。

 

私学退職金財団のケース

 事前積立方式を採用している私学退職金財団の場合は、退職金要支給額の一部を構成するものとなるため、財団から受け取ることができる交付金の額を退職金要支給額から直接減額することになります。

2.私大退職金財団からの交付金等の会計処理及び表示

 学校法人が私大退職金財団から受け取る交付金は、大科目「雑収入」のうちに適当な小科目(例えば、「私立大学退職金財団交付金収入」等)を設けて処理します。なお、事業活動収支計算上、退職金と交付金とは相殺せずに両建表示します(実務指針44号1-1-3)。私大退職金財団はあくまで修正賦課方式のため、相殺表示はできないと考えられます。

 

 学校法人が私大退職金財団に支払う負担金(加入金(財団設立当初において支出した加入金相当額の寄付金を含む。)、登録料、掛金及び特別納付金をいう。)は、大科目「人件費支出」に属する小科目のうちに適当な細分科目、例えば、「私立大学退職金財団負担金支出」等を設けて処理します(実務指針44号1-1-3)。

3.私学退職金団体からの交付金等の会計処理及び表示

 教職員の退職時に学校法人が私学退職金団体から受け取る交付金は、大科目「雑収入」のうちに適当な小科目(例えば、「私学退職金社団交付金収入」等)を設けて処理します。なお、いわゆる積立方式を採用している私学退職金団体に加入している場合には、事業活動収支計算書において、当該教職員に係る退職金と交付金の額とを相殺して表示することができます。

 

 学校法人が負担する私学退職金団体に対する入会金、登録料及び教職員の標準給与に対する負担金(出資金、会費又は掛金等の名称のものも含む。)等の支出については、大科目「人件費支出」に属する小科目のうちに、例えば「所定福利費支出」、「私学退職金社団掛金支出」等の細分科目を設けて処理します(実務指針44号1-1-4)。

4.変更時差異の特例処理

 平成23年度改正に伴い、50%基準から100%基準へ変更された際に発生した変更時差異については、大科目「人件費」のうちに、新たに小科目として「退職給与引当金特別繰入額」を設けて計上することになります。

 

 ただ、経過措置として、一括計上することが困難な場合には、10年以内の期間をもって計上することができます。この場合、変更時差異は、毎年度均等額を繰り入れることになります。なお、本通知を適用するにあたり、定めた期間を変更する場合、延長することはできませんが短縮することは差し支えありません。

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