学校法人会計における図書の会計処理
(2021年6月1日更新)
1.図書に関する会計処理
図書の会計処理については、「「図書の会計処理について(報告)」について(通知)」(昭和47年11月14日、雑管台115号)によって以下のように規定されています。
●固定資産として計上
長期にわたって保存、使用することが予定される図書は、取得価額の多寡にかかわらず固定資産に属する図書として取扱う。
●減価償却の有無
固定資産に属する図書については、原則として、減価償却経理を必要としないものとする。この場合、図書の管理上、除却の処理が行われたときは、当該図書の取得価額相当額をもって消費支出(注:現在は、事業活動支出。以下同じ)に計上するものとする。
除却による経理が困難なときは、総合償却(注:グループ償却)の方法により減価償却経理を行うことができる。
●図書費として計上できる場合
学習用図書、事務用図書等のように、通常その使用期間が短期間であることが予定される図書は、取得した年度の消費支出として取扱うことができる。
取得した年度に処理する場合は「出版物費支出」として経費処理し、長期間で使用する場合は、取得価額の多寡にかかわらず「図書支出」で計上する(学校法人委員会研究報告第20号「固定資産に関するQ&A」(改正平成22年6月9日、日本公認会計士協会)。
●附属費用、値引き等の取扱い
図書の取得価額には、原則として、取得に要する経費を含まないものとする。大量購入等による値引額および現金割引額は、「雑収入」として処理することができる。
●合冊製本の場合
消費支出として処理した雑誌等を合冊製本して、長期間にわたって、保存、使用する図書とする場合は、その合冊製本に要した経費をもって、当該図書の取得価額とすることができる。
●テープ等の処理
図書と類似の役割を有するテープ、レコード、フィルム等の諸資料は、利用の態様に従い、図書に準じて会計処理を行うものとする。
2.加除式と補遺の取扱い
上記が基本的な図書の会計処理となりますが、学校法人委員会研究報告第20号「固定資産に関するQ&A」1‐8において、追録として発行される書籍の取扱いが規定されています。加除式と補遺でそれぞれ以下のように規定しています。
●加除式の書籍
基になる部分を「台本」、更新・追加・差し替えとなる部分を「追録」ということが多い。
書籍は追録の差し替え等を行うことで最新のものになる。そのため、台本のままで更新を行わないと、内容の陳腐化等を招くため、図書としての価値を減ずるおそれがある。したがって、台本部分については、長期にわたって保存・利用する予定で購入したことが想定されるため図書として取扱う。追録部分については、更新が定期的に行われることによって図書としての要件を満たす一方で、追録の差し替え作業によってそれまで図書を構成していた部分が取り除かれ、その分だけ図書の価値が減少していると考えることができる。したがって、追録費用については教育研究費として取扱うことが適切と考えられる。
●補遺
主となる図書に追加すべきものとして定期又は不定期に冊子の形で発行されるものをさすとされる。
補遺自体が独立した価値を持つため、長期にわたって保存・利用する予定のものであれば図書として扱うことが適切と考えられる。
3.図書の管理
学校法人における図書は、机や椅子などの固定資産と同様に、教育に欠かせない重要な資産である一方で、多量で破損や紛失なども多くなり、管理が必要です。
決算ごとに毎年、図書の棚卸を行い除却処理をするなど、適切な管理が求められます。