学校法人向け経理/監査/会計アウトソーシング

無料相談
見積依頼

無料相談・見積依頼

学校法人会計におけるリース取引の会計処理

学校法人会計におけるリース取引の会計処理

(2021年6月1日更新)

1.学校法人におけるリース取引の会計処理

 リース取引については、従前は所有権移転ファイナンス・リース取引だけが売買取引に係る方法として処理されていましたが、企業会計基準が所有権移転外ファイナンスリース取引についても売買取引に係る方法に変更されたことに合わせて、学校法人会計においても同様の変更となり、「リース取引に関する会計処理について(通知)」(平成20年9月11日、20高私参第2号)が発出されました。

 

 学校法人のリース取引については、教育研究用のコンピュータをはじめ、医療機器、車両等各種資産に範囲が拡大するとともに、取引量も年々増加する傾向にある中で、企業会計基準改正の背景となったリース取引に係る経済的実態を的確に計算書類に反映させる要請等については、学校法人会計に関しても同様であると考え、企業会計基準と同様に、ファイナンス・リース取引については、一定の場合を除き、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理を行うこととしました。

2.学校法人におけるリース取引の会計処理(ファイナスリース取引・定義)

 「リース取引」「ファイナンス・リース取引」「所有権移転ファイナンス・リース取引」「所有権移転外ファイナンス・リース取引」はそれぞれ以下のように定義されます。

 

●リース取引

 リース取引とは、特定の物件の所有者たる貸手が、当該物件の借手に対し、合意された期間(以下「リース期間」という。)にわたり、これを使用収益する権利を与え、借手は、合意された使用料(以下「リース料」という。)を貸手に支払う取引をいう。

 

●ファイナンス・リース取引

 ファイナンス・リース取引とは、リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、借手がリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生ずるコストを実質的に負担することとなるものをいう。

 

 なお、上記において、「これに準ずるリース取引」とは、法的には解約可能であるとしても、解約に際し相当の違約金を払わなければならない等の理由から、事実上解約不能と認められるリース取引をいう。

 

 また、「借手がリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受する」とは、当該リース物件を自己所有するとするならば得られると期待される、ほとんど全ての経済的利益を享受することをいい、「当該リース物件の使用に伴って生ずるコストを実質的に負担する」とは、当該リース物件の取得価額相当額、維持管理等の費用、陳腐化によるリスク等のほとんど全てのコストを負担することをいう。

 

●所有権移転ファイナンス・リース取引

 所有権移転ファイナンス・リース取引とは、ファイナンス・リース取引のうち、次のいずれかに該当するものをいう。

 

① リース契約上、リース期間終了後又はリース期間の中途で、リース物件の所有権が借手に移転することとされているもの。

 

② リース契約上、借手に対して、リース期間終了後又はリース期間の中途での割安購入選択権(名目的価額又はその行使時点のリース物件の価額に比して著しく有利な価額で買い取る権利をいう。)が付されており、その行使が確実に予想されるもの。

 

③ リース物件が借手の用途等に合わせて特別な使用によるものであって、当該リース物件の返還後、貸手が第三者に再リースし、又は売却することが困難であるため、その使用可能期間を通じて借手によってのみ使用されることが明らかなもの。

 

●所有権移転外ファイナンス・リース取引

 所有権移転外ファイナンス・リース取引とは、ファイナンス・リース取引のうち、所有権移転ファイナンス・リース取引以外のものをいう。

3.学校法人におけるリース取引の会計処理(ファイナスリース取引・会計処理)

 ファイナンス・リース取引は、リース取引開始日に、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理により、リース物件及びこれに係る債務を、それぞれ該当する固定資産等の科目及び負債の未払金(長期未払金)に計上します。

 

 ただし、次のいずれかに該当する場合には、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うことができます。

 

① リース料総額が学校法人の採用する固定資産計上基準額未満のもの(リース物件が少額重要資産の場合を除く。)

 

② リース期間が1年以内のもの

 

③ リース契約1件当たりリース料総額が300万円以下のもの(ただし、所有権移転外ファイナンス・リース取引に限る。)

 

 上記のとおり、ファイナンス・リース取引は原則として売買取引に係る方法に準じて、リース物件を資産計上、リース債務を負債計上することになります。ただ、重要性の判断からリース料総額が300万円以下のものは所有権移転外ファイナンス・リース取引に限り賃貸借取引として処理することができます。

4.学校法人におけるリース取引の会計処理(ファイナスリース取引・固定資産価額等)

 通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理を行う場合、固定資産に計上する金額をどうするかが問題となりますが、リース料総額をベースとした「利子抜き法」と「利子込み法」のふたつの方法があります。

 

●利子抜き法

 利子抜き法とは、リース料総額を、リース債務の元本返済額部分、利息相当額部分及び維持管理費用相当額部分に区分し、元本返済額部分をもって固定資産価額等とすることをいいます。なお、維持管理費用相当額は、一般的に、契約書等において明示されていない場合が多く、また、当該金額がリース物件の取得価額相当額に比較して重要性が乏しい場合が少なくありません。したがって、維持管理費用相当額は、その金額がリース料に占める割合に重要性が乏しい場合は、リース料総額から控除しないことができます(学校法人委員会報告第41号「リース取引に関する会計処理について(通知)に関する実務指針(平成21年1月14日、公認会計士協会)」1-7)

 

●利子込み法

 利子込み法とは、リース料総額をもって固定資産価額等とすることをいう。

 

 リース会計基準では利子抜き法を原則としますが、リース対象資産の総額に重要性が乏しいと認められる場合には、利子込み法により処理することができます。

 

 リース対象資産の総額に重要性が乏しいと認められる場合とは、貸借対照表日後のリース期間に係るリース料(以下「未経過リース料」という。)の期末残高(通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うリース取引及び利子抜き法により固定資産計上する会計処理を行うリース取引に係るものを除く。)が、当該未経過リース料の期末残高、有形固定資産及びその他の固定資産(有価証券、収益事業元入金、長期貸付金、引当特定預金等を除く。)の期末残高(利子込み法により処理した場合におけるファイナンス・リース取引に係るリース対象資産に係るものを除く。)の合計額に占める割合が10%未満である場合とします。

 

 利子抜き法を採用する場合、利子相当額の総額をリース期間中の各期に配分する方法は、原則として、利息法(各期の支払利息相当額をリース債務の未返済元本残高に一定の利率を乗じて算定する方法)によるものとします。なお、リース対象資産の総額に重要性が乏しいと認められる場合においても利子込み法によらず利子抜き法により処理するときには、定額法(利息相当額をリース期間中の各期にわたり、定額で配分する方法)によることもできます。

 

 学校法人の場合、校舎や校地などの自己所有の固定資産金額が多額に上ることが多いので、利子込み法を採用することが認められるケースが多く、利子込み法の方が会計処理も簡単なため、実際に利子込み法を採用している学校法人が多いように思われます。

 

 なお、リース対象資産以外のリース物件については、利子込み法によりリース料総額をもって経費として処理することを原則としています。

5.学校法人におけるリース取引の会計処理(ファイナスリース取引・減価償却額)

 リース対象資産の減価償却額は、所有権移転ファイナンス・リース取引に係るものについては自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により算定し、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るものについてはリース期間を耐用年数とし残存価額をゼロとして算定します。

 

 なお、会計年度の中途で取得した所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース対象資産の減価償却額の計算においても、当該リース対象資産について計算される年間減価償却額を月額按分したものによるほか、次の簡便法を採用している場合も、重要性がない場合には、妥当な会計処理として取扱うことができます。

 

① 取得時の会計年度は、償却額年額の2分の1の額により行う。

② 取得時の会計年度は、償却を行わず、翌会計年度から行う。

③ 取得時の会計年度から償却額年額により行う。

6.学校法人におけるリース取引の会計処理(ファイナスリース取引・再リース料)

 再リースを行う場合の再リース料は、経費として処理します。

7.学校法人におけるリース取引の会計処理(オペレーティング・リース取引)

 オペレーティング・リース取引とは、リース取引のうち、ファイナンス・リース取引以外のものをいいます。

 

 オペレーティング・リース取引の会計処理は、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行います。

8.学校法人におけるリース取引の会計処理(表示)

 リース物件については、該当する固定資産の科目又は消耗品費・賃借料等の経費科目に含めて表示します。

 

 リース物件に係る債務については、貸借対照表日後1年以内に支払いの期限が到来するものは流動負債に属するものとし、貸借対照表日後1年を超えて支払いの期限が到来するものは固定負債に属するものとします。

 

 リースの注記について、リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下に該当し、または、リース取引開始日が平成21年4月1日以前であるため、所有権移転外ファイナス・リース取引について、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行った場合で、これらのリース料総額の合計額に重要性があるときは、「リース物件(又はリース資産)の種類」「リース料総額」及び「未経過リース料期末残高」等を注記します。注記するかどうかの重要性の判断は、学校法人の規模等を勘案して決定することになります(学校法人委員会報告第41号2-1)。

お役立ち情報

PAGETOP

監査・会計・税務・経理代行のことなら、
まずはお気軽にご相談ください。

学校法人の監査・会計・税務・経理代行に関するお問い合わせ・お見積もり依頼は、
電話・問い合わせフォームより受け付けております。

03-3527-9419受付時間 9:30~18:00

無料相談・見積依頼