私立学校振興助成法第14条第3項に基づく監査
(2021年6月1日更新)
1.監査事項(資金収支計算書)
公認会計士または監査法人が行う学校監査で一般的に行われているのが、私立学校振興助成法第14条第3項に基づく監査です。貸借対照表、収支計算書その他の財務計算に関する書類が監査対象になります。
私立学校振興助成法第14条第3項に基づく監査の監査事項については、「平成27年度以後の監査事項の指定について(通知)」(26文科高第1121号、平成27年3月30日)で具体的内容が定められています。この章では、各計算書類の具体的な監査事項について解説します。
まず、資金収支計算書については、次のとおり定められています。
1.資金収支計算書について (1)ア 資金収支計算は、学校法人会計基準(昭和46年文部省令第18号。以下同じ。)の定めるところに従って行われているかどうか。 (ア) 当該会計年度の諸活動に対応するすべての収入及び支出は正しく計上されているかどうか。 (イ) 当該会計年度における支払資金の収入及び支出の計上並びにそのてん末は妥当であるかどうか。
イ 上記アの具体的内容のうち特に留意すべき事項は次のとおりである。 (ア) 収支の繰上げ又は繰下げを行っていないかどうか。 (イ) 資金収入調整勘定及び資金支出調整勘定の計上は、妥当であるかどうか。 (ウ) 資金収支計算書における「前年度繰越支払資金」及び「翌年度繰越支払資金」の額は、期首並びに期末の貸借対照表における現金預金有高と一致しているかどうか。 (エ) 収入及び支出の各科目への区分は正しく行われているかどうか。 (オ) 寄付金や学校債による資金の受入れが、適正に行われているか。特に、入学者又はその関係者からの受入れに留意すること。
(2) ア 資金収支計算書の表示方法は、学校法人会計基準の定めるところに従っているかどうか。
イ 記載科目、記載方法及び様式は、学校法人会計基準第9条、第10条、第11条、第12条及び第14条に従っているかどうか。
(注)資金収支内訳表及び資金収支計算書に基づき作成する活動区分資金収支計算書については、所轄庁に届け出る計算書類であるが、監査事項からは除外されていること。 |
2.監査事項(事業活動収支計算書)
次に、事業活動収支計算書については、次のとおり定められています。
2.事業活動収支計算書について
(1) ア 事業活動収支計算は、学校法人会計基準の定めるところに従って行われているかどうか。 (ア) 当該会計年度の教育活動収入及び教育活動支出は正しく計上されているかどうか。 (イ) 当該会計年度の教育活動外収入及び教育活動外支出は正しく計上されているかどうか。 (ウ) 当該会計年度の特別収入及び特別支出は正しく計上されているかどうか。
イ 上記アの具体的内容のうち特に留意すべき事項は次のとおりである。 (ア) 減価償却額及び退職給与引当金繰入額は正しく計上されているかどうか。 (イ) 教育活動収支、教育活動外収支及び特別収支の各科目への区分は正しく行われているかどうか。 (ウ) 基本金組入額及び基本金取崩額は、正しく計上されているかどうか。 (エ) 寄付金(現物寄付を含む。)の受入れが、適正に行われているか。特に、入学者又はその関係者からの受入れに留意すること。 (オ) 各収支差額は正しく計上されているかどうか。
(2) ア 事業活動収支計算書の表示方法は学校法人会計基準の定めるところに従っているかどうか。
イ 記載科目、記載方法及び様式は、学校法人会計基準第18条、第19条、第20条、第21条、第22条及び第23条に従っているかどうか。 (注)事業活動収支内訳表については、所轄庁に届け出る計算書類であるが、監査事項からは除外されていること。 |
3.監査事項(貸借対照表)
次に、貸借対照表については、次のとおり定められています。
3.貸借対照表について
(1) すべての資産及び負債は、学校法人会計基準の定めるところに従って計上されているかどうか。 ア 資産の評価は、妥当であるかどうか。 イ 負債は、すべてを網羅して計上されているかどうか。
(2) 基本金要組入額は正しく把握されているかどうか。
(3) 基本金及び繰越収支差額は、学校法人会計基準の定めるところに従って計上されているかどうか。
(4) 貸借対照表の表示方法は、学校法人会計基準の定めるところに従っているかどうか。 記載科目、記載方法及び様式は、学校法人会計基準第32条、第33条、第34条、第35条及び第36条に従っているかどうか。 |
4.監査事項(収益事業に係る計算書類)
最後に、収益事業に係る計算書類については、次のとおり定められています。
4.収益事業に係る計算書類について
(1) 会計処理及び計算書類の作成は、一般に公正妥当と認められる企業会計の原則に従って行われているかどうか。
(2) 計算書類の作成に当たって、その記載科目、記載方法及び様式は、一般に公正妥当と認められる企業会計の原則に従っているかどうか。 |