学校法人向け経理/監査/会計アウトソーシング

無料相談
見積依頼

無料相談・見積依頼

法人税法上の収益事業の範囲

法人税法上の収益事業の範囲

(2022年6月1日更新)

1.政令で定める法人税法上の収益事業

  学校法人は公益法人等と位置付けられていますが、普通法人が行う事業と競合する事業については、収益事業として課税されます。 

 

  法人税の収益事業に該当する要件である、「政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われる」ことの「政令で定める事業」とは、以下の34業種になります。

 

法人税法施行令 第5条(収益事業の範囲)

 ① 物品販売業 ② 不動産販売業 ③ 金銭貸付業 ④ 物品貸付業 ⑤ 不動産貸付業 ⑥ 製造業 ⑦ 通信業 ⑧ 運送業 ⑨ 倉庫業 ⑩ 請負業 ⑪ 印刷業 ⑫ 出版業 ⑬ 写真業 ⑭ 席貸業 ⑮ 旅館業 ⑯ 料理店業その他の飲食店業 ⑰ 周旋業 ⑱ 代理業 ⑲ 仲立業 ⑳ 問屋業 ㉑鉱業 ㉒土石採取業 ㉓浴場業 ㉔理容業 ㉕美容業 ㉖興行業 ㉗遊技所業 ㉘遊覧所業 ㉙医療保健業 ㉚技芸教授業等 ㉛駐車場業 ㉜信用保証業 ㉝無体財産権提供業 ㉞労働者派遣業“

 

 私立学校法で定める収益事業と法人税法で定める収益事業の事業内容は異なります。例えば、学校法人では収益事業と認められる農業、林業、漁業は、法人税法上は収益事業に該当しません。私立学校法の規定に伴い、収益事業として寄付行為の変更認可を得た事業が、必ずしも法人税法上の収益事業に該当するとは限りません。 

2.収益事業と付随行為

  収益事業には、「その性質上その事業に付随して行われる行為を含む」とされています(法人税法施行令第5条第1項)。付随行為とは、例えば次に掲げる行為のように、通常その収益事業に係る事業活動の一環として、又はこれに関連して行われる行為をいいます 

 

法人税法基本通達15-1-6

 令第5条第1項《収益事業の範囲》に規定する「その性質上その事業に附随して行われる行為」とは、例えば次に掲げる行為のように、通常その収益事業に係る事業活動の一環として、又はこれに関連して行われる行為をいう。(昭56年直法2-16「七」、平20年課法2-5「二十九」により改正)

(1) 出版業を行う公益法人等が行うその出版に係る業務に関係する講演会の開催又は当該業務に係る出版物に掲載する広告の引受け

(2) 技芸教授業を行う公益法人等が行うその技芸の教授に係る教科書その他これに類する教材の販売及びバザーの開催 (注) 教科書その他これに類する教材以外の出版物その他の物品の販売に係る収益事業の判定については、15-1-10に定めるところによる。

(3) 旅館業又は料理店業を行う公益法人等がその旅館等において行う会議等のための席貸し

(4) 興行業を行う公益法人等が放送会社に対しその興行に係る催し物の放送をすることを許諾する行為

(5) 公益法人等が収益事業から生じた所得を預金、有価証券等に運用する行為

(6) 公益法人等が収益事業に属する固定資産等を処分する行為

 

  収益事業に係る付随行為は収益事業に含めて課税対象となりますが、逆に収益事業に該当しない事業(非収益事業)に係る付随行為が、その付随行為単独で34業種に該当するようなケースではどうなるでしょうか。 

 

  この場合は、収益事業に係る付随行為は、単独では非収益事業であったとしても、すべからく収益事業に含めて課税対象となることと同様に、たとえその付随行為が単独でみれば34業種に該当するケースであっても、当該付随行為が非収益事業に係る付随行為であれば課税の対象には、原則としてなりません。 

 

  但し、法人税法通達15-1-10(2)~(4)で定めるような事項については、それが非収益事業である学校法人本来の教育事業に係る付随事業であっても、物品販売業に該当するので注意が必要です。 

 

法人税法基本通達15-1-10

 宗教法人、学校法人等が行う物品の販売が令第5条第1項第1号《物品販売業》の物品販売業に該当するかどうかについては、次に掲げる場合には、それぞれ次による。(昭56年直法2-16「七」により改正)

(1) 宗教法人におけるお守り、お札、おみくじ等の販売のように、その売価と仕入原価との関係からみてその差額が通常の物品販売業における売買利潤ではなく実質は喜捨金と認められる場合のその販売は、物品販売業に該当しないものとする。ただし、宗教法人以外の者が、一般の物品販売業として販売できる性質を有するもの(例えば、絵葉書、写真帳、暦、線香、ろうそく、供花等)をこれらの一般の物品販売業者とおおむね同様の価格で参詣人等に販売している場合のその販売は、物品販売業に該当する。

(2) 学校法人等が行う教科書その他これに類する教材以外の出版物の販売は、物品販売業に該当する。 (注) ここでいう「教科書その他これに類する教材」とは、教科書、参考書、問題集等であって、学校の指定に基づいて授業において教材として用いるために当該学校の学生、生徒等を対象として販売されるものをいう。

(3) 学校法人等が行うノート、筆記具等の文房具、布地、糸、編糸、食料品等の材料又はミシン、編物機械、ちゅう房用品等の用具の販売は、たとえこれらの物品が学校の指定に基づいて授業において用いられるものである場合であっても、物品販売業に該当する。

(4) 学校法人等が行う制服、制帽等の販売は、物品販売業に該当する。

(5) 学校法人等が行うバザーで年1、2回開催される程度のもの(15-1-6の(2)に該当するものを除く。)は、物品販売業に該当しないものとする。

3.収益事業の判定

 学校法人の法人税法の実務で一番難しいのは、収益事業の判定です。

 

 例えば、スポーツ大会のために学校の体育館を使用する場合や、演奏会を学校のホールで行う場合に使用料をとっているケースは、法人税法上の席貸業に該当する可能性があります。英検のテストを教室で受けるときに教室利用料を徴収しているケースも、席貸業に該当しそうですが、英検を受けているのが学校法人の生徒のみであれば、教育の一環ということで(非収益事業である教育事業の付随事業として)席貸業には該当しないと判断できる可能性もあります。 また、技芸教授業については収益事業に該当する技芸が限定列挙されていることから、音楽教室での収入は収益事業ですが、体操教室、サッカー教室、英会話の語学教室、情報処理、スイミングスクール等は収益事業にはなりません。同じ「習い事」であっても、教える内容によって収益事業に該当するケースと該当しないケースとに分かれます。

 

 学校法人会計でいうところの補助活動収入、付随事業収入、収益事業収入、雑収入の取引が収益事業に該当するのか、1つ1つ確認していく必要があります。

 

 次項からは34業種の収益事業について、順を追って解説します。

お役立ち情報

PAGETOP

監査・会計・税務・経理代行のことなら、
まずはお気軽にご相談ください。

学校法人の監査・会計・税務・経理代行に関するお問い合わせ・お見積もり依頼は、
電話・問い合わせフォームより受け付けております。

03-3527-9419受付時間 9:30~18:00

無料相談・見積依頼