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学校法人が行う付随事業と収益事業の違い

(2020年7月15日現在)

1.学校法人における付随事業の範囲

 学校法人は、本来事業である教育研究活動のほか、学校教育に付随して行われる事業(付随事業)と収益事業(私立学校法第26条で定める事業)を行うことができますが、近年、学校法人においては、様々な性質、種類、規模の付随事業や収益事業を行う例が見受けられるようになっており、付随事業と収益事業は一定の範囲内で行うことがふさわしいと考えられています。

 このため、文科省管轄学校法人については、「文部科学大臣所轄学校法人が行う付随事業と収益事業の扱いについて(通知)」(平成21年2月26日20文科高第855号)によって定められており、付随事業の範囲については別紙として以下のとおり定められています。

 

1.目的 

文科省管轄学校法人の付随事業は、収益を目的とせず、教育研究活動と密接に関連する事業目的を有する必要があります。

 

2.実施主体

学校法人自らが事業を実施する必要性が十分に認められており、他者からの請負で実施するものでないことが必要です。

 

3.事業の性質・種類

収益事業告示(平成20年文部科学省告示141号)に定める範囲内でなければなりません。

 

4.事業規模

事業の規模は、概ね下記(A)の範囲内であること。特定の付随事業が特定の学校の教育研究活動と密接に関連する場合は、(A)かつ(B)の範囲内でなければなりません。

連続3か年度、下記規模を超えた場合には、文部科学省に相談の上、事業の見直し(事業縮小や収益事業への転換)を検討しなければなりません。

(A):全付随事業に関する収入/学校法人全体の帰属収入 < 30/130

(B):特定の付随事業に関する収入/特定の学校部門の帰属収入 < 30/130

(注1)上記「学校法人全体の帰属収入」には、収益事業からの繰入収入を含まない。

(注2)上記各収入には、次の①②を含まない。

 ①特定年度にのみ臨時的に生じた収入(資産売却差額等)

 ②保育事業による収入

 

5.事業対象者(物品やサービスの提供先)

事業対象者(物品やサービスの提供先)は、主として在学者又は教職員及び役員でなければなりません。事業の性質上、やむを得ず主たる対象者が、在学者又は教職員及び役員以外の者となる場合には、教育研究活動において、在学者又は教職員及び役員が、当該事業として提供される物品やサービスを50日(3セメスター制の1セメスター相当)程度以上活用する具体的計画がなければなりません。

 

6.収支の均衡

事業による収入は、費用を賄える程度とする必要があります。

 

7.財源

事業に使用する土地の確保及び施設・設備の整備に必要な経費、毎年度の経常経費の財源は、できる限り負債性のない資産を充てなければなりません(行政機関からの補助金等は可)。借入金を充てる場合は、無理のない返済計画を有する必要があります。

 

8.土地・施設・設備

事業に使用する土地・施設・設備は、原則、自己所有でなければなりません。借用の場合には、長期間にわたり使用できる保証がなければなりません。土地・施設・設備の取得・借用費用は、事業内容や収支計画に照らし、過大なものではいけません。

 

 なお、次のいずれに該当する事業(保育事業を除く。)は、付随事業としての実施を学校法人として決定する前に、必ず文部科学省に相談しなければなりません。

 

 ①在学者又は教職員及び役員以外の者に物品やサービスの提供を行い対価を得る事業

 ②学校の所在地と離れた場所に施設を設置して行う事業

 ③事業を行うに際して、行政機関の許認可を必要とする事業

2.学校法人における付随事業の会計処理

 「文部科学大臣所轄学校法人が行う付随事業と収益事業の扱いについて(通知)」(平成21年2月26日20文科高第855号)において、以下の①~③の全てに該当する付随事業について、資金収支内訳表及び事業活動収支内訳表に部門を設けて表示することを求めています。


①在学者又は教職員及び役員以外の者を主たる対象者として行う事業

②校舎(法人本部棟を含む。)とは別に施設を設け行う事業

③事業を行うに際して、行政機関の許認可を必要とする事業


 ただし、①~③の全てに該当しなくても、①、②、③のいずれかに該当する場合であって、かつ、組織、施設等において独立的に活動を営む場合には、部門を設けて表示することが望ましいとされています。

 また、保育事業については、在学者又は教職員及び役員が養育する者以外の者を主たる対象者とする場合には、②又は③に該当しない場合であっても、部門を設けて表示します。


 付随事業は、学校法人会計における補助活動収入・支出、附属事業収入・支出が該当することになります。補助活動としては、食堂、売店、寄宿舎、スクールバスの運行等が該当します。附属事業としては、附属機関として病院、農場、研究所などの事業活動が該当することになります。

 学校法人会計では、第5条において補助活動収入・支出については総額ではなく純額表示することも認められていますが、当該活動が上記②、③のいずれかに該当する場合であって、かつ、組織、施設等において独立的に活動を営む場合には、部門を設けて表示することが望ましく、その場合には、原則どおり、総額をもって表示することになります。


 また、部門を設けて表示する付随事業は、寄付行為に記載し文部科学省の認可を得る必要があります。その際、事業の種類については、日本標準産業分類の名称を例として具体的に記載しなければなりません。

3.付随事業における保育事業の取扱い

 幼稚園を設置する文部科学大臣所轄学校法人が行う保育事業(0歳~6歳児を対象とする認可保育所又は認可外保育施設。以下同様。)については、国として幼稚園と保育所の連携を推進していることにかんがみ、付随事業として位置づけたうえで、次の①~③のとおり取り扱います。また、幼稚園を設置しない文部科学大臣所轄学校法人が行う保育事業は、在学者又は教職員及び役員が養育する者を主たる対象者とする場合、付随事業として位置づけ、①及び③のとおり扱うこととします(ただし、幼稚園を設置する、しないに関わらず、収益を目的とする場合を除く。)。

 

①保育事業は、付随事業の規模の範囲外で行えることとする。

②経営状況を明らかにする観点から、在学者又は教職員及び役員が養育する者以外の者を主たる対象者として保育事業を行う場合には、寄付行為への記載や会計に関する表示について部門を設けて表示を行うこととする。

③保育事業の実施決定にあたって、文部科学省に対する事前相談を要しないこととする。

 

 なお、「学校法人の設置する認可保育所の取扱いについて〈通知)」(平成14年7月29日14文科高第330号)において、学校法人の設置する認可保育所は付随事業として取り扱われ学校会計上では以下のような会計処理上の取扱いが必要となります。

① 財務計算に関する書類に記載する金額は、総額表示とすること。

② 認可保育所に係る収支は、資金収支計算書及び事業活動収支計算書に教育研究に関連する科目としては計上しないこと。

③ 資金収支内訳表及び事業活動収支内訳表に部門を設けること。

④ 施設設備等は、基本金組入対象資産とすること。

⑤ 併設の幼稚園との施設・運営の共用化等を図る場合は、当該幼稚園との施設設備等の管理や経費の負担区分等を明確にすること。

 

 また、従来は社会福祉法人会計基準に従った資金収支計算書及び資金収支内訳表の作成が必要でしたが、平成22年度以降は資金収支計算分析表の作成によることができるようになりました。

4.学校法人における収益事業

「文部科学大臣所轄学校法人が行う付随事業と収益事業の扱いについて(通知)」(平成21年2月26日20文科高第855号)において、収益事業については従来どおり、私立学校法第26条に基づき、収益事業告示に定める範囲内で行うものであり、寄附行為に記載し文部科学省の認可を得ることとされています。また、会計は学校法人会計とは別に企業会計に従った会計処理が求められています(学校法人会計第3条)。

 事業規模については、概ね下記(C)の範囲内であることが求められています。連続3か年度、下記規模を超えた場合には、文部科学省に相談の上、事業の見直し(事業縮小や当該事業の実施にふさわしい法人の設立)を検討することが必要です。

 

(C):全収益事業に関する売上高及び営業外収益<学校法人全体の帰属収入=100

(注3)上記「学校法人全体の帰属収入」には、収益事業からの繰入収入及び次の①②を含まない。

①特定年度にのみ臨時的に生じた収入(資産売却差額等)

②保育事業による収入

 

 なお、学校法人が指定管理者として行う地方公共団体の所有する施設の管理運営事業については、①地方公共団体からの請負であること、②施設は地方公共団体の所有であり学校法人自らが設置したものではないこと、にかんがみて、学校法人が行う本来事業又これに付随する事業とはみなせないことから、収益事業として位置づけることが必要です(その際、地方公共団体との契約により、指定管理者として管理運営する施設を教育研究に活用することは可能)。

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