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学校法人会計における基本金の取崩し

学校法人会計における基本金の取崩し

(2021年6月1日更新)

1.基本金の取崩し

 学校法人会計基準第31条で、基本金の取崩しについて規定しています。

 

学校法人会計基準 第31条(基本金の取崩し)

 学校法人は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該各号に定める額の範囲内で基本金を取り崩すことができる。。

一 その諸活動の一部又は全部を廃止した場合 その廃止した諸活動に係る基本金への組入額

二 その経営の合理化により前条第1項第1号に規定する固定資産を有する必要がなくなった場合 その固定資産の価額

三 前条第1項第2号に規定する金銭その他の資産を将来取得する固定資産の取得に充てる必要がなくなった場合 その金銭その他の資産の額

四 その他やむを得ない事由がある場合 その事由に係る基本金への組入額

 

 基本金の組入額及び取崩額の計算は、第30条第1項各号の基本金毎に、組入れの対象となる金額が取崩しの対象となる金額を超える場合には、その超える金額を基本金の組入額として取り扱うものとし、また、取崩しの対象となる金額が組入れの対象となる金額を超える場合には、その超える金額を基本金の取崩額として取り扱うものとします。但し、固定資産を取得するために、第2号基本金を第1号基本金に振り替える場合には、この計算には含めません(「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について(通知)」平成17年5月13日17高私参第1号1)。

 

 このため、基本金の取崩しはそれが単独で考えらえているのではなく、あくまで組入額と取崩額の大小によって処理されることになります。

 

 なお、第4号の「その他やむを得ない事由」とは、地方公共団体等による土地収用など、学校法人の自己都合による資産の処分ではなく外的要因によるものが該当するものと考えられています(「学校法人会計基準の一部改正について(通知)平成17年5月12日17文科高第122号第三1(6))。

2.第1号基本金の取崩しの具体例

 第1号基本金の取崩しができるのは、基準第31条第1号に定める諸活動の一部又は全部を廃止した場合のほか、同条第2号に定める経営の合理化により固定資産を有する必要がなくなった場合又は同条第4号に定めるその他やむを得ない事由がある場合です。

 

 経営の合理化により固定資産を有する必要がなくなった場合とは、所有していた固定資産を維持する必要がなくなった場合で基本金の設定対象となった資産と同一種類の資産を継続的に保持しないとき、又は除去又は売却した資産と同一種類の資産を当初に取得した資産より低い価額で取得したときに、第1号基本金の取崩しが行われます。

 

 具体的には以下のようなものがあげられます(学校法人委員会研究報告第15号「基本金に係る実務上の取扱いに関するQ&A 」Q3-3(1))。

 

①諸活動の一部又は全部を廃止した場合

 ・学部、学科等を廃止し、又は定員が減少した場合

 ・学生寮事業を廃止した場合

 

②経営の合理化により固定資産を有する必要がなくなった場合

 ・複数のキャンパスを統合した場合

 ・学生通学用バスを売却したが、今後取得しない場合

 ・郊外の研修施設を処分したが、今後は学内施設において研修を行うこととし、今後再取得しない場合

 ・校舎等の建替えに要した額が、当初取得価額を下回った場合

 ・年度一括対応によっている機器備品について、除去資産の取得価額より本年度に取得した資産の取得価額の合計額が少なく、今後当該除去資産と同等の金額水準まで機器備品を取得しない場合

3.第2号基本金の取崩しの具体例

 第2号基本金を取り崩すことができるのは、基準第31条第1号に定める諸活動の一部又は全部を廃止した場合のほか、同条第3号に定める金銭その他の資産を将来取得する固定資産の取得に充てる必要がなくなった場合又は同条第4号に定めるその他やむを得ない事由がある場合です。

 

 金銭その他の資産を将来取得する固定資産の取得に充てる必要がなくなった場合とは、組入計画の縮小または廃止を行った場合などが該当します。これらによる基本金の取崩対象額が第2号基本金の他の組入計画による基本金の組入対象額を上回る場合には第2号基本金を取り崩すことになります。

 

 具体的には次のような例が挙げられます(学校法人委員会研究報告第15号「基本金に係る実務上の取扱いに関するQ&A」Q3-3(2))。

 

 ・施設設備計画を大幅に見直し、計画規模を縮小した場合

 ・学部設置計画や体育館新築計画を廃止又は変更した場合

4.第3号基本金の取崩しの具体例

 第3号基本金を取り崩すことができるのは、基準第31条第1号に定める諸活動の一部又は全部を廃止した場合のほか、同条第4号に定めるその他やむを得ない事由がある場合です。

 

 これらによる基本金の取崩対象額が第3号基本金の他の組入計画による基本金の組入対象額を上回る場合に第3号基本金を取り崩すこととなります。

 

 具体的には次のような例が挙げられます(学校法人委員会研究報告第15号「基本金に係る実務上の取扱いに関するQ&A」Q3-3(3))。

 

 ・奨学事業を縮小又は廃止した場合

 ・教職員の住宅資金借入に係る利子補給事業を見直して廃止した場合

 ・配当金を奨学金に充てるように指定されて受け入れた株式の発行会社が銀行取引停止となり、当該有価証券を評価替えしたことにより資産価額が低下したが、他の資産を追加繰入れすることなく将来計画を見直す場合

5.第4号基本金の取崩しの具体例

 第4号基本金は、「別に文部科学大臣の定める額」によって計算された金額によって計上されることから、その毎年の金額の増減によって取崩しが行われることになります。前年度に設定した第4号基本金の金額よりも当年度に設定する金額が20%以上減少した場合は、第4号基本金は取り崩されることになります。

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