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学校法人会計における注記事項ー有価証券の時価情報

学校法人会計における注記事項ー有価証券の時価情報

(2021年6月1日更新)

1.有価証券の時価情報

 近年の金融商品の多様化や、特にリーマンショック以降の経済状況の大きな変化に伴い、学校法人の資産運用のリスクを一層明確に把握しやすくすることが重要となっていることから、有価証券の時価情報を種類別に注記する必要があります(「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について(通知)」(平成25年9月2日25高私参第8号)Ⅲ3(1))。

 

 学校法人が時価の変動する有価証券を所有している場合、市場変動リスクにさらされており、会計年度末に相当の含み損又は含み益があれば取得価額による表示だけでは実態を表しているとは言い難いので、保有する有価証券(特定目的の引当資産に含まれる有価証券を含む。)の簿価総額若しくは含み損又は含み益に金額的重要性がある場合には有価証券の時価情報を注記します(学校法人委員会研究報告第16号「計算書類の注記事項の記載に関するQ&A」(最終改正平成26年12月2日、公認会計士協会)Q14)。

 

 時価情報の注記として、時価のある有価証券(特定目的の引当資産に含まれる有価証券を含む。)の貸借対照表計上額及びその時価並びにその差額を記載することになります。なお、国債、地方債、政府保証債及びその他の債券を満期まで所有する意思をもって保有する場合には、会計年度末における評価損益が多額であっても実現する可能性が低いことから、時価情報の注意として満期保有目的の債券を内書きして記載することが望ましいとされています(同Q14)。

 

 また、上記の注記のほか、保有する有価証券(特定目的の引当資産に含まれる有価証券を含む。)の種類ごと(債券、株式、投資信託、貸付信託、その他)の明細表の記載も必要とされています。債券、株式、投資信託、貸付信託の4種類については、該当する種類がない場合であっても明細上省略せず「-」を記載します。より詳細な種類内容を明細表として記載することもできます。なお、記載の方法としては、貸借対照表の勘定科目(各引当特定資産及び有価証券)ごとに区分する方法も考えられます。

 

 有価証券の時価については、「学校法人の貸借対照表・その他の固定資産」で詳しく解説しています。

 

 有価証券の時価情報の記載例は以下のとおりです。

 

【総括表】

(単位 円)

当年度(令和××年3月31日)
貸借対照表計上額 時価 差額
時価が貸借対照表計上額を超えるもの ××× ××× ×××
(うち満期保有目的の債券) (×××) (×××) (×××)
時価が貸借対照表計上額を超えないもの ××× ××× ×××
(うち満期保有目的の債券) (×××) (×××) (×××)
合計 ××× ××× ×××
(うち満期保有目的の債券) (×××) (×××) (×××)
時価のない有価証券 ×××
有価証券合計 ×××

 

【明細表】

(単位 円)

当年度(令和××年3月31日)
貸借対照表計上額 時価 差額
債  券 ××× ××× (△)×××
株  式 ××× ××× (△)×××
投資信託 ××× ××× (△)×××
貸付信託 ××× ××× (△)×××
その他 ××× ××× (△)×××
合   計 ××× ××× (△)×××
時価のない有価証券 ×××
有価証券合計 ×××

 

 このほか各学校法人の実態に応じて、併せて次のような記載をすることも考えられます。

 

●有価証券の運用方針の記載や満期保有目的の債券の評価損益が多額であっても実現する可能性が低い場合にはその旨の注記。

●時価の下落率が30%以上50%未満の場合における「著しく低くなった」と判断するための「合理的な基準」の注記。

2.満期保有目的の債券の取扱い

 満期保有目的の債券については、会計年度末における評価損益が多額であっても実現する可能性が低いことから、時価情報の注記として満期保有目的の債券を内書きして記載することが望ましいとされ、記載例でもそのように表示されています。

 

 ここで「満期まで所有する意思をもって保有する」とは、学校法人が償還期限まで所有するという積極的な意思とその能力に基づいて保有することをいいます。保有期間が漠然と長期であると想定し保有期間を予め決めていない場合、又は市場金利や為替相場の変動等の将来の不確定要因の発生いかんにより売却が予想される場合には、満期まで所有する意思があるとは認められません。また、資金繰り計画等からみて、満期までの継続的な保有が困難と判断される場合には、満期まで所有する能力があるとは認められません(同Q15)。

 

 また、当初、満期まで所有する意思をもって保有していたとしても、その一部を償還期限前に売却し、残りについても満期まで所有する意思がない場合には、時価情報の満期保有目的の債券には集計しません。また、会計年度末において満期まで所有する意思がない場合においても、時価情報の満期保有目的の債券には集計しません。

 

 なお、企業会計においては、例えば満期保有目的の債券の売買目的への保有区分の変更によって、評価基準を原価法から時価法へ変更しなければなりませんが、学校法人会計では評価基準は原価法であるため、保有目的を変更しても評価基準に変更はなく、実態に合わせて注記に正しく集計すれば足ります(同Q16)。

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