学校法人向け経理/監査/会計アウトソーシング

無料相談
見積依頼

無料相談・見積依頼

学校法人会計における第1号基本金

学校法人会計における第1号基本金

(2021年6月1日更新)

1.第1号基本金

 学校法人会計基準において第1号基本金は以下のように定義されています。

 

学校法人会計基準 第30条(基本金への組入れ)

 学校法人は、次に掲げる金額に相当する金額を、基本金に組み入れるものとする。

一 学校法人が設立当初に取得した固定資産(法附則第2条第1項に規定する学校法人以外の私立の学校の設置者にあっては、同条第3項の規定による特別の会計を設けた際に有していた固定資産)で教育の用に供されるものの価額又は新たな学校(専修学校及び各種学校を含む。以下この号及び次号において同じ。)の設置若しくは既設の学校の規模の拡大若しくは教育の充実向上のために取得した固定資産の価額

・・・以下、略・・・・

 

 第1号基本金は、固定資産を中心とした基本金の組入れを規定したものです。条文にあるとおり、以下の固定資産が対象となります。


・設立当初に取得した固定資産で教育の用に供されるものの価額

・新たな学校の設置のために取得した固定資産の価額

・既設の学校の規模の拡大若しくは教育の充実向上のために取得した固定資産の価額

 

 これらの固定資産には、無形固定資産も含まれ、リース対象資産も含まれます。「教育に供されるもの」は、狭義の教育用固定資産だけでなく、広く教育研究用の固定資産及び教育研究を成り立たせるために必要なその他の固定資産を含みます。

 

 また、少額重要資産(机、椅子、ロッカーなど)についても固定資産に計上するとともに基本金組入れの対象とします。

 

 そのほか、学校法人が学生寮を建設し、寮の運営管理を全て学生の自主に委ねている場合は、学校法人が、当該資産について、その諸活動の計画に基づいて、永続的に、必要な資産と判断したときは、第1号基本金の組入対象になります(学校法人委員会研究報告第15号「基本金に係る実務上の取扱いに関するQ&A」Q2-1)。

 

 一方で、固定資産でないものや投資目的資産は含まれないため、流動資産、有価証券、収益事業元入金、長期貸付金は基本金の組入対象にはなりません。

2.基本金の未組入とは

 学校法人会計基準では、第30条第3項で基本金の未組入について以下のように規定しています。

 

学校法人会計基準 第30条(基本金への組入れ)

 学校法人は、次に掲げる金額に相当する金額を、基本金に組み入れるものとする。

 ・・・略・・・

3 学校法人が第1項第1号に規定する固定資産を借入金(学校債を含む。以下この項において同じ。)又は未払金(支払手形を含む。以下この項において同じ。)により取得した場合において、当該借入金又は未払金に相当する金額については、当該借入金又は未払金の返済又は支払(新たな借入金又は未払金によるものを除く。)を行った会計年度において、返済又は支払を行った金額に該当する金額を基本金へ組み入れるものとする。

 

●取得原資(自己資金またや借入金・未払金)による処理の違い

 

 第1号基本金については、借入金や未払金によって取得した場合には、その借入金や未払金の返済又は支払いを行った会計年度において、その返済額又は支払額の金額を基本金として組み入れることになり、未返済額・未払額については基本金に組み入れられません。これは強制規定であり、未返済部分があるのに勝手に組み入れることは認められません。

 

 自己資金で全額固定資産を取得した場合は、すべて基本金に組み入れられますが、そうでない場合は段階的に組み入れられることになります。

 

 これは「事業活動収入のうちから組み入れた金額を基本金とする」とする基準第29条の規定に従って、借入金などが事業活動収入に含まれないのだから(自己資金に含まれないのだから)、未返済・未払部分については当然資本金に組み入れることは認められません(学校法人委員会研究報告第15号「基本金に係る実務上の取扱いに関するQ&A」Q2-6)。


●組入に関する論点


 ただし、校舎改築の場合などで、旧校舎ですでに基本金に組み入れられた額がある場合には、必ずしも未返済部分と未組入額が一致するとは限りません(同Q2-7)。

 

 また、借り換えなどによる借入金の返済がある場合には、「新たな借入金又は未払金によるものを除く。」とあるように組入の対象外となっていますので、実質的な返済にあたらない借入金の返済については基本金の組入れになりません。

 

 リース対象資産の基本金組入についても同様で、リース対象資産にかかる未払金相当額は未組入額として処理することになります(同Q2-5-2)。

3.固定資産の取替更新の場合

 固定資産を取替更新した場合は、原則として、個々の固定資産ごとに基本金要組入額を改訂すべきかどうかについての判断をします(「基本金設定の対象となる資産及び基本金の組入れについて(報告)」について(通知)」昭和49年2月14日文管振第62号3(1))。

 

 しかし、機器備品の取得の場合は、新旧の個別対応関係が必ずしも明確でない場合が多いので、機器備品の取替更新に伴う基本金組入れについては、上記の原則にかかわらず、次のような取扱いによることができます(同3(2))。

 

① 機器備品の取得は、すべて基本金要組入額の増加要因とする。ただし、機器備品の取得価額のうち、当該年度中に除去した機器備品(又は前年度末をもって耐用年数が経過した機器備品、以下同じ。)の取得価額相当額については、機器備品の取替更新分とみなし、両者の差額を基本金要組入額とする。

 

② 機器備品の取得価額が当該年度中に除去した機器備品の所得価額を下回る場合は、その下回る額は後年度に繰り延べたうえ、上記①に準じて取り扱うこととする。

 

 ②の場合、翌年以降に取得予定がない場合は、そのまま基本金の取り崩しとなります。

お役立ち情報

PAGETOP

監査・会計・税務・経理代行のことなら、
まずはお気軽にご相談ください。

学校法人の監査・会計・税務・経理代行に関するお問い合わせ・お見積もり依頼は、
電話・問い合わせフォームより受け付けております。

03-3527-9419受付時間 9:30~18:00

無料相談・見積依頼